

耳をふさいでパニックになるという様子から、お子さんには音に対する過敏性があり、それを耳をふさいでシャットアウトしようとしていることが考えられます。通常、私たちは刺激に対する選択性・指向性があり、必要な音のみに注意を向け不必要な音は抑制するので、音の意味を理解して生活することできます。しかし、この調整が上手く機能しない場合、全ての音が同時に入り、不快に感じてパニックになると考えられます。
合奏では複数の種類の楽器が使われ、それぞれ異なる音が同時に大音量で耳に届きますので、聴覚過敏の子どもの場合は、特に耐えられない状態となると考えられます。外出時も同様に、普段家で生活している時とは比べるものにならないほど多くの音が子どもの身の周りに降りかかります。特に人込みでは、人々の話声や笑い声や泣き声、アナウンスの声などに加え、電車や車の音など様々な音が入り混じります。このような状態では、合奏のときと同様、すべての音が騒音となって感じられます。耳を塞いでパニックになるだけでなく、吐き気やめまいといった他の症状も同時に現れる子どももいます。
私たちでも、急に大きな音や聞き慣れない音がしたら驚くことがあります。聴覚過敏の子どもではさらに、予期できず意味が分からないものに対してはより敏感に反応すると考えられます。
このような場合、耳栓やイヤーマフなどの道具を使うことになり、入ってくる音の量を制限したり、音楽の時間は個別の練習にするなどの配慮も必要だと思われます。また、乱れる神経系の働きを調整して、安心してリラックスできる活動を積極的提供する必要もあります。
【子どもの理解と援助のために感覚統合】から引用