

私たちがものに関わる時には、体の両側が自然に協調的に動きます。
着替え、折り紙、はさみの操作など、細かい操作になるほど、左右のては別々の動きをしながら互いの動作を支え合っています。
子どもは発達の過程で少しずつ体の両側の協調運動を身に付けています。
はじめは左右が同じように動いているのですが、次第に片手の手で操作するために、反対にを対象物を固定するために用いるというような使い方もできるようになります。
脳半球には、左は言語、右は視覚認知というように、それぞれ優位性があることが良く知られています。
このような優位の確立は、運動の様子からも伺うことができます。利き手に限らず効き目や効き足のように体の一側を優位に使えるということは、両側が協調し、支え合い、役割分担をしていることを表しているのです。
不器用な子ども達の中には利き手が確立しておらず、体の右側では右手、左側では左手を使ったり、左右が良く分からない子どもたちがいます。
ハサミで形を切り抜く時、ハサミを動かすより紙を動かしたほうがスムーズに切れます。しかし両手の協調性が不十分な子どもは、ハサミを持つ手の手首・肘・肩の安定性や指の分離した運動が未熟で、ハサミを開閉すると同時に肩・手首に力が入り過ぎてしまうだけではなく、反対の手が紙を上手に支えたり、動かしたりすることが苦手な様子が見られます。
定規で左右に線を引くには、一方の手で定規を下方向に押さえつつ、反対の手で鉛筆を定規に向って押し付けながら左右の手の押す力が異なると、定規が動いてしまい、定規に沿った線を引くことできません。
このような子どもの場合、まず、ハサミでまっすぐな線を切ったり、幅の狭い紐状の紙を切る練習から始めるのも良いと思います。
雑巾がけや、大きめのボールを投げたり受け取ったりなど、両手を同じ様に使う活動から始めるのもよいでしょう。
また、定規に滑り止めのゴムをつけるなどの工夫をして定規を動きにくくしたり、定規を押さえる指の位置にクッション素材を貼るなど、抑える感じを分かりやすくする工夫も役に立つと思います。
《子どもの理解と援助の為に感覚統合》から引用