

前庭感覚は、からだの揺れや傾き、回転などの情報を脳に伝えます。この中でも回る感覚は、とても強い前庭感覚の情報となります。この感覚の受け取り方が弱く、沢山の強い情報を必要としているように見える子ども達は、その情報を求めて動き回ったり、自分でクルクル回ったり、高い所に登ったり、ブランコに乗り続けるなど行動を見せることがよくあります。
この前庭感覚からの情報と視覚情報は一緒に働いて、私たちがスムーズにむの中心で物を見ることを可能にしています。
頭が動くと反射的に目が動いて、視覚のブレを○○とするのです。またこの反射は、逆に電車の中から外の動く景色をみているような時に体験する連続して動く視覚刺激でも、反射的にめの運動を引き起こします。
そしてどちらも、めまいを感じる脳の部分に情報が伝えられます。
質問のお子さんは、扇風機のファンが回転するときの一定の連続した視覚的な動きを、回転と同じような情報として脳に取り入れているのです。
強い前庭刺激を求める子どもたちは、一般に色々な遊具や自分の体を操作することでこの刺激を取り込んでいます。
ところが、遊具を操作したり自分の体をうまく動かして満足できる刺激を取り込むことできない子どもは、簡単にできる自己刺激的な行動を行いやすいです。
ファンを見つめたり、首振りや体を揺らして遊び(ロッキング)等、決まった動きを繰り返してその中で満足を得ようとしているのです。
一般に単調な動きから得られる感覚情報は慣れが生まれやすいのですが、このような行動を繰り返す子どもは、なかなか慣れや満足が起きず、ずっと眺めるといった同じ行動を繰り返すと考えられます。
《子どもの理解と援助のために感覚統合》から引用