

このような大人の考えの背景には二つの理由が考えられます。一つは、私たちには何でもない感覚刺激が、感覚過敏の子供達にとってはとても苦痛に感じる可能性があることをあまり深く捉えていないことです。このような場合、個人差があるとはいえ、感覚過敏がいかに子どもに取って辛いことかを第三者が子どもに代わって説明する必要があります。その苦痛がイメージしやすいように、例えば、、耳元でガラスがキーキーという音をずっと聞かされていたら辛く感じますよね?それを我慢させることがいかに子どもを苦しめることになるかを伝えなければならないでしょう。
もう一つの理由は、このような過敏性は慣れれば克服できると考えていることです。私たちの多くは、確かに同じ刺激が繰り返し入れるとそれに注意を払わなくなるという神経メカニズムを持っています。しかし、感覚過敏を持つ子供の場合、刺激に慣れにくいのがこのような子ども達の抱える困り感であることを伝えなくてなりません。中には受けいられるように見える子どももいるかもしれませんが、本当は、ただ抵抗するのをあきらめてしまっているだけかもしれません。刺激をシャットダウンして、ひたすら耐える子もいるのです。
これでは、見かけ上慣れたように見えるだけで、決して本質的な問題の解決になっていないことを理解してもらう必要があります。
そして、具体的にどのような対応をするとよいのか、子供と一緒に話し合えるとよいでしょう、音に過敏な場合は嫌な刺激を遠ざける、音量を小さくする、席を変える、イヤーマフを試すといったことを提案してみるのはいかがでしょうか。同じように、触れるのが苦手な子どもの場合、席を後ろの壁際にしたり、背中側に本棚など置き、後ろから不意に触られてびっくりしないように工夫することができるです。
そして、全身をぎゅっと圧迫する、マットの中に挟まる、重いベストを着る、飛び降りる、固いものを噛む、などの活動が間接的にこのような子ども達の過敏な神経をなだめる効果もあります。
《子どもの理解と援助のために感覚統合》から引用