

お子さんの突然嬉しくなる、腹が立つ、悲しくなるといった反応は、脳皮質からのコントロールがまだ未熟だったり、感覚情報の受け取り方に偏りがある可能性も考えられます。周りからは突然と思われますが、それはその理由が回りの大人には理解できないことを意味するだけなのかもしれません。実は、環境のわずかな変化や苦手なことに直面したり、自分の思い通りにならなかったり、周りの状況が理解できない、不快な感覚刺激があるなど、その子供なりの理由がありながら適切なコミュニケーション手段を用いることができずに泣いたり怒ったりして表現しているのかもしれないのです。
対処法はまず、このような感情の変化や問題となる行動がどのような場面・状況で起こるのかを詳しく観察・記録し、その理由を探る必要があります。例えば、いつ、何をしている時に起こったのか、慣れている、もしくは新しい場面なのか、体調や生活リズムに問題はなかったのか、周囲の環境はどのような状況であったかなどを整理することで考えられ、いくつかの原因を見つけることができるでしょう。原因によって対応も異なってきますが日頃な対応は注意点を上げてみます。
人によって対応の仕方がバラバラになったり、同じ人でも対応が違ったりしないように、一貫性のある対応を心がけます。感覚調整の問題が背景にあると感がられる場合、周囲の感覚刺激の量や質に注意します。先の見通しが立ちやすいように、また今、何をすれば良いのかを子どもが理解やすい方法で具体的に提示しましょう。言葉以外のコミュニケーション方法の獲得を促しましょう。
情緒が不安定になった時の対応落ち着いて対応しましょう。対応する人が騒いだり声を掛けすぎると、余計に不安定になり感情表出が激しくなる場合があります。落ちつかせようと本人に言いきかせようとする対応も同じことです。子どもが不安定になったら、そばで安全面を確保して静かに見守りながら落ち着くのを待ったほうがうまくいく場合も多いです。周りに人がいたり、ざわざわした環境など刺激が多いと落ち着くのに時間がかかる可能性が高いので、そのような場合、静かな場所に誘導したほうがよいでしょう。さらに子どもが落ち着けるグッズは日頃からどういうものが好きかを確認しておくとよいでしょう。ギュッと握りしめて遊ぶ感触グッズなどが気持ちの切り替えに役立つ場合があります。
《子どもの理解と援助のために感覚統合》から引用