

手先の細かな活動ができるようになるためには、まずは安定した姿勢をとれていること、手首や指の動きを支える肘や肩が動きを合わせながらしっかり働くことが必要です。
また、扱う物の特性や自分がどのように扱っているかを知るためには、自分のkらだの大きさや空間内での体の動きに関する情報も必要です。このような情報をもとに私たちは体の地図である身体図式を発達させます。自分の体を思うようにコントロールし、目的に応じて使いこなす能力を運動企画能力といいますが、不器用な子ども達は、この身体図式の発達に問題を持っていることが多く、自分のからだの情報を的確に把握できないために物の操作もうまくできないことが多いのです。
また、物をうまく扱う為には目の動きもとても重要になります。対象物に焦点を合わせて見続けた莉、動きに合わせて追い続けたり、その動きや形の違いを見分ける力などが必要になります。このような情報を視学から得ることで、自分の体をコントロールしながら、物をうまく操ることができるのです。
また、私たちは、過去に経験したことのない運動をしたり、新しい物を操るときには、それをどう扱うか、どのような順番で運動を組み立て体を動かそうか、その動作はどのようなタイミングで一つの運動から次の運動へつながっていくのか、動く対象にどんな風に体の動かし方を合わせるのかなどを組み立てます。
そして運動が何度か行われると、私たちは体の使い方にいちいち注意を向けなくても自動的に効率よい運動ができるようになります。
不器用な子どもたちは、この運動の順番の組み立てや、リズム、タイミングに合わせた運動ができずにうまく対象物を操作できないでいるように見えることがよくあります。
また、筋肉・関節の動き、前後・左右・上下の位置関係からのフィードバックがうまくうけとれないため、どこで間違いが起こったかが関わらず、失敗の修正がうまくできないこともあります。
このような子ども達は、物を操作しょうとするとうまくいかずに失敗体験を重ねてしまう可能性が高く、細かい手先を使った活動や体を使った遊びを避けたり、自信がない子どもに育ちやすいのです。ですから、無理に難しいことを指導するのではなく、楽しく体の情報を受け取る簡単な遊びから提供する必要があります。年齢や子どもが今どのようなことができるかにもよりますが、よじ登りやトンネルくぐりなど、シンブルで成功感をしっかりした感覚情報が体に沢山入る遊びがよいでしょう。
手先も、細かいことより先にしっかり他のひらで支える、押す、握る動作が入る遊びから始めるとよいと思います。粘土を使っての型押しや泥遊び、新聞ちぎり遊び、うどん作りなどのお手伝いもよいかもしれません。
《子どもの理解と援助のために感覚統合》から引用