

頭や体の動きを感じる感覚(前庭感覚)二偏りを持っている子どもは、視覚からの情報に多く頼る傾向があります。エスカレーターは動く方向や速度や視覚的にとらえやすい乗り物ですが、エレベータは視覚的な変化が無いにも関わらず上下方向の加速が生じます。
前庭感覚の情報には変化が無いにも関わらず、動いている感じがするので混乱するのかもしれません。
空間や奥行の学習にも前庭感覚と視覚の発達が関与しています。私たちは自分の体を基準に空間での方向性や、空間の広さ、物との位置関係を学習します。
自分の体のとらえ方があいまいなために体を指標にすることができない子どもは、遠い・近い、高い・低いなど空間の中の位置関係を正確にとらえることが苦手です。このような子どもは色々な物を比較、対照することで自分なりの空間のとらえ方をしているかもしてません。
エレベーターの中は空間の指標となる物がない為に、子どもは自分の位置を定めることができず不安を感じる可能性も考えられます。
また、触覚の情報処理に偏りがある子どももエレベーターを嫌う場合があります。このような子ども達は、触られることを不快に感じ、怒りや不安の感情が引き起こされやすいので、狭い空間の中でいつにもなく近い距離に他人が近寄ってきたら、とても不快で不安になるでしょう。エレベーターの中は閉じられた空間の為逃げ出すことも出来ず、じっと我慢するしかありません。
のような子ども達にとってエスカレーターは、自分で人との距離を調整する子tができるため、利用しやすいと考えられます。
また、結果がどうなるのかという予測が立たないためにエレベーターを怖がる子どももいるかもしれません。
エスカレーターは動き方や、目的地を見て理解することができますが、エレベーターは動き方や目的地を見て理解することできますが、エレベーターはどうでしょう。目的のとことへ移動する物ではありますが、子どもにとってはそのプロセスを見ることができないために、次がどうなるのかと言う予測が立てにくい乗り物です。
子どもは経験の中で、自分でドアの開閉ボタンを押して操作できることや、昇降ボタンを押すと押した番号の階で止まるという、スイッチとエレベーターという道具の因果関係を理解していきます。それは次に起こることを予測する能力が発達してきたことを意味します。
この様に、エレベーターを怖がる子どもの行動の背景には様々な理由が考えられますので、それぞれの理由に応じて対応は異なります。エレベーターに乗れないことがその子どもの生活にどれだけ重大な影響を及ぼしているかも考えて対応していきましょう。
《子どもにの理解と援助のために感覚統合》から引用